透明人間の色
「…ふん、生意気ね。でも、結構。私たちが知ってる限りを話すわ」
「えー、本気で言ってんのー」
男の方がそう声をあげるが破名に殴られる。
「私は同じことを何回も言うほど暇じゃないのよ」
「あははー、殴る方が労力だよ」
「………」
頭のネジが数本イカれているような笑い方をする男は頭をさする。不機嫌そうに睨みつける破名を気にもとめてないかのようだ。
この二人の関係はよく分からない。
「まあ、君がそう言うならお話ししちゃおっか?すごーく、気に入らないけどね」
「あなたは正義ごっこに賛成なの?」
「うーん。まあ、賛成反対っていうか、紫が決めたことだからね。僕らはそれに従うだけさ。でも、紫と違って僕は愛に生きる男だから」
愛に生きるなどと熱弁し始めたこの男に、本当に愛だの恋だのあるのか分からないけれど、協力してくれそうで助かった。
「手短に説明をお願い」
「ちぇっ、ちょっとは聞けよ」
文句を言いながらキーボードを高速で叩き始めた男は、数分後こちらを振り返った。
「ドキドキ・正義ごっこメモリアル~紫ルート~のはじまりはじまりー」
満面の笑みであった。
「………」
「むかーし、むかし。あるところに、一人のおばはんがいました」