透明人間の色
画面に映し出された男の言うおばはんは、綺麗な女性だった。けれど、写真の顔はどこまでも冷たい。
「おばはんは夫とは死別しています。死んだ理由は日本政府による口封じのための暗殺」
「その人は何を知っていたの?」
「日本政府のあらゆる闇さ。彼は、いや彼の一族はずっと日本政府の暗部を背負ってきた」
「なぜ?」
「彼の一族は時を越えられる。過去も未来も行き来可能だ」
「なっそんなことあるわけないわ」
「俺も最初はそう思った。だけど、実際にいるんだ。君も何度か接触している」
「え?」
そんな不思議な人と出会ったことなんてあっただろうか。すれ違うだけ、クラスが同じだけなら知らないのもおかしくはないが。
「霧蒼、彼がその一族の末裔だ」
驚きに声も出なかった。
そして思い出したのは彼との出会い。夜の街で絡まれていたところを撮影されたこと。あれは今思うとなかなかない出会いではなかったか。
あのとき絡んできたおじさんはお偉いさんで、数日後ニュースで大きくスキャンダルを報道され失脚している。
そのことが、霧蒼と繋がっているような気はしていた。けれど、その理由が特殊能力保持だとは思いもしない。
そういえば、達也と別れたあの夜は不思議なことが起こったこともある。
姿を見せない霧蒼がまるで私の描いた絵の中にいるようなことを言っていた。それも何か能力に関係あるのかもしれない。
「思い当たる節はたくさんあるみたいだね」
「………」