透明人間の色
「それで戦力になりそうな人に心当たりは?」
「ない」
「役立たず」
「それは君も同じさ」
破名は唇を噛んで男を睨む。案の定男が嬉しそうに笑う。
「まあ、僕は君より頭がいいから安心してよー」
「うるさいっ!」
「そんなこと言われたら、もう何もしゃべらないけど?」
その言葉に破名は無言で銃を構えた。
「しゃべりなさい」
「君はどうして可愛くおねだりが出来ないんだろうね?まあ、そこが可愛いんだけど」
「………」
「分かった。分かった。しゃべる、しゃべらせて頂きますよ」
それでも銃口を向けたままの破名に一つため息をつくと、男は私を指した。
「ここはモテモテ美香ちゃんの本領を発揮してもらおうと思ってね」
銃がカチャリと音を立てる。
「まあまあ。人の話は全部聞いてから判断するものだって習わなかった?」
「あんたの話は耳が腐る」
「うわっ、ひっど!」
この人たちは時間がないと言うわりにのんびりだ。
「それで?私は何をすればいいの?」
私が続きを促すと、男はニヤリと笑った。
正直、私が何か出来るとは思っていなかったし、その顔に不安しか覚えない。
それを知ってか知らずが、男は自慢げに断言した。
「なに、ラブコール一本で世界は救える!いやー、実に素晴らしい世界だと思うね」
意味が、分からなかった。