透明人間の色
私の絵が平等。
それはなんとなく分かる。私の世界はいつだって色で溢れて特定の色はない。今だって窓枠の向こうの空は青空でも曇り空でもなく、色彩豊かな夢。
それは何色とも言い難い私の世界だ。
「……そう。平等、かもね」
少なくとも今までは。
私はただ箱から出して広げただけの絵の具を見た。どれも同じ具合に曲がっている。
私の絵の具は一つの色だけがきれたりしない。
それはあまりにも必然的だった。
誰に対しても平等。それこそが私の夢だから。
「偽善者でいたかったの」
「………なんで?」
「偽善も貫けば、正義になるって思ってたから」
でも、違った。
偽善であることは、やはり私にはただの自己満足でしかない。それを私は貫くことも出来ない。しかも、楓にまでその偽善を気づかれている。
正義には、なれない。
私は公園のブランコが好きな女の子と同じ、汚い人間なのだ。
「………今は違うの?」
「たぶん」
「じゃあ、偽善を止めるの?」