透明人間の色
答えたくない質問だった。
言葉は力を持っている。
言葉にしてしまえば、それが事実になるのだ。
だけど、だからこそ私は言わなければならないのだろう。
「___それを今日決意したの」
私は偽善を止める。
そのために断ち切るべき最初は達也だった。私のなり損ないの正義は達也がために生まれたものだったから。
だから最初で最後のデートをしよう。
場所はこの作品を飾るはずの美術展。
続きが描けなくなった未完成の作品とその正義にサヨナラを告げる最高の舞台だった。