透明人間の色
「………イケメン、探してるんでしょ」
「うん」
「なんで、…彼氏に頼まないわけ?」
彼氏。
頭の中で復唱したそれは私には無関係の代物。
いや、晶人さんはそうなのかもしれない。
意識したことがなくて、私はそう思い当たるのに数秒かかった。
「………その彼氏がイケメン探してこいって言ってるんだけど」
「は?あんな東城にベタ惚れの奴が?」
初めて見た霧蒼の驚きの顔だが、私はさらに戸惑った。
「誰こと言ってる………?」
晶人さんのことなんて、霧蒼が知っているはずないのに。
「は?笹本達也に決まってる」
私は一瞬の驚きの後納得した。まあ、普通そう見えるだろう。達也は私がデートに誘ってから上機嫌だ。
私は表情筋を上げて笑って見せた。
「達也?達也は彼氏じゃないよ」
「………どういうこと?」
「どうもこうも、そのまんまだよ」
私はひきつる顔にさらに口の端を上げて見せた。たぶん、相当ヒドイ顔だ。
「また失望した?」