透明人間の色
「へー、じゃあ美香のクラスメートなんだね」
三人は席について自己紹介しあった。
四人用のテーブルに、東城と僕は隣り合って、優男は目の前に座っている。
「うん」
東城がそう言って頷く。
紹介しあったと言っても、僕は東城の隣に座っているだけで、僕を紹介したのは東城である。
そんな僕は初めて口を開いた。
「あんたは?なんで、東城と知り合ったの?」
敬語なんて使ってやらないし、名前だって呼んであげない。
そんな敵意丸出しの僕の言葉は、本当はたぶん嫉妬の塊でしかなかった。
「うーん。美香ちゃん、言っていいの?」
僕の様子を気にした風もなく、わざとらしくそう聞いた優男。
なんで、聞くんだよ。
そんなの一般に言って東城が困ることだからに決まってるのに、僕はそう思わずにはいられなかった。
「うん。いいよ」
美香は何でもないように頷く。
その時、一瞬だけ自然過ぎていた優男の笑顔が強ばった。
「いいんだ」
妙な言い方だった。まるで、東城が間違いを言ったみたい。
やっぱり、こいつは変だ。
「分かったよ。………霧くん、僕は美香ちゃんの遠い親戚なんだ」
「親戚?」
「そう。美香ちゃんの両親が亡くなっているのは知ってる?」