透明人間の色





「へー、じゃあ美香のクラスメートなんだね」


三人は席について自己紹介しあった。

四人用のテーブルに、東城と僕は隣り合って、優男は目の前に座っている。

「うん」

東城がそう言って頷く。

紹介しあったと言っても、僕は東城の隣に座っているだけで、僕を紹介したのは東城である。


そんな僕は初めて口を開いた。



「あんたは?なんで、東城と知り合ったの?」



敬語なんて使ってやらないし、名前だって呼んであげない。

そんな敵意丸出しの僕の言葉は、本当はたぶん嫉妬の塊でしかなかった。


「うーん。美香ちゃん、言っていいの?」

僕の様子を気にした風もなく、わざとらしくそう聞いた優男。


なんで、聞くんだよ。

そんなの一般に言って東城が困ることだからに決まってるのに、僕はそう思わずにはいられなかった。


「うん。いいよ」

美香は何でもないように頷く。

その時、一瞬だけ自然過ぎていた優男の笑顔が強ばった。



「いいんだ」



妙な言い方だった。まるで、東城が間違いを言ったみたい。

やっぱり、こいつは変だ。


「分かったよ。………霧くん、僕は美香ちゃんの遠い親戚なんだ」

「親戚?」




「そう。美香ちゃんの両親が亡くなっているのは知ってる?」




< 75 / 248 >

この作品をシェア

pagetop