透明人間の色
「僕は見たから」
たったそれだけのために、僕は東城を心底信じている。
東城だけが、僕の欲しい答えをはじき出せるのだ、と。
「………そうですか。では、私が言うのはこれだけにしておきましょう」
もったいぶった言い方だ。
もしかしたら、東城の親戚で彼氏だと言う男と気が合うかもしれない。
そう思ったけど、やっぱり違うと打ち消した。
あの男も、守木も仮面を被ってはいるけれど、その中身は全く違うし、仮面の形だって違う。
そう考えて僕は満足した。
もうピエロのことは忘れたい。
「東城美香の後ろには、紫がいます」
そう考えた矢先のこの言葉に、僕の鼓動がドクンと跳ねた。
紫。
その称号を聞いて僕はいつも六年前の夏を思い出してしまうけど、今日は違ったのだ。
今日この時に限って思い出したのは、東城の親戚で彼氏だというピエロみたいな男だった。