透明人間の色




その次の日、僕は学校を休んだ。

たぶん誰も気にかけていないだろうけど、僕はよく学校を休む。

でも、学校を休むことを引け目に感じたことや、不安に思ったことは今まで一度だってなかった。

むしろ、僕は学校を休んでいる間、高校生らしからぬ正義ごっこで忙しい。

僕は正義ごっこが良いとも悪いとも、まだ判断がついてないけど、東城を見つけたからには、その答えはいつか必ず見つかるはずだった。


ただ、それではもう遅いかもしれない。


正義ごっこはあの人が始めた本当に冗談みたいな計画から始まっている。

だけど、紫という人物によって、それは現実を帯び始めてきたようだ。


僕はそれを喜んでいいのか分からない。


少なくとも、紫と東城が何らかの関係あると聞いてからは、僕は正義ごっこを感情的に否定的だ。

でも、とにかく今日の僕は気だるげに授業を受けている高校生の自分よりも、正義ごっこをしている僕を優先した。

昨日の一日分の仕事を取り返さなければいけないのがまず一つ理由だ。

あと、昨日僕が東城のために時間を使ったことで、あの人にまで東城のことを調べられては困る。

東城の存在を紫が知っているなら、昨日のことをあの人がもう知っていてもおかしくない。


東城は僕にとって正義ごっこを止める理由になりうる人物だ。


東城のことを知っても、ほぼそんなことあの人は思いもしないだろうけど、ゼロではない可能性は、潰しておくべきだ。

それくらい、あの人には僕が正義ごっこに疑問を持ってることを、知られてはならない。

だから、今日僕が学校を休むことは正当だった。


でも、今日だけはそんな自分を不安に思う。


僕からわざとではないため息がこぼれた。




でも、そんな僕は嫌いだから、わざとということにする。


< 84 / 248 >

この作品をシェア

pagetop