黒ク甘イ、恋。
小さな家。
“あの惨劇から10年、犯人はどこへ!?”
新聞の見出しは、こうだった。
・・・父と母をいっぺんに失ってから10年。
17歳になった私。
「おはよう、お母さん、お父さん。」
毎日写真の中の父と母にあいさつをする。
大好きな母さんと父さん。
幸せだったあの7年間。
「・・・いってきます。」
今まで、お世話になっていた春野おばさんが亡くなって今日から一人暮らし。
親戚が大家をしているアパートを一部屋を無償で貸していただいている。
“働けるようになったら、返してくれればいいから”
優しい叔父さんの、心遣いのおかげで
高校にも通えるようになった。
新しい土地。
こっちの気候は、寒い。
冬には雪が積もる。
雪なんか、ちらほらしかみたことがない。
夏は、涼しいらしい。
あっちは、蒸し風呂のようだけどこっちは
カラッとしたすがすがしさが、残ると言っていた。