黒ク甘イ、恋。
階段を上り、父達の部屋へ行って、二人の帽子を探していた時。
「きゃぁあああ!!!!!」
「・・・?」
「みと・・・ッ!逃げろおおお!!」
「・・・おと、うさん?お母さん・・・?」
お父さんの帽子を握りしめる。
とてつもない恐怖が、美桃を襲う。
「・・・・お父さん、お母さん・・・?」
蝉の声が、無性にうるさい。
・・・暑さでかな?汗がいっぱい流れる。
「美桃ッ!み・・・ぅ・・・!」
ザシュッっと、聞き慣れない音が階段付近まで聞こえる。
「う・・・ぁ・あ、っ・・・ぐゥ・・・貴様!」
「・・・・・お父さん!」
血まみれの父。
初めて味わう本当の恐怖。
階段を駆け下りたかった。
でも、怖くて動けない。
「・・・みと!!に、げ・・・・」
ドサッと、音が聞こえて二階からは、何もわからなくなった。
声も、音も、
何も聞こえない。