黒ク甘イ、恋。
静けさの中に、不安がいっぱいあった。
恐怖に支配される苦しさを7歳で知ってしまった。
「・・・・、お母さん?・・・お父さん・・・?」
一段ずつ、しっかりと踏みしめて階段を下りる。
一段、また、一段・・・。
帽子は、手にしっかりと握られていた。
「―・・・
お父さん!!!」
目の前に広がった視界は、すべて否定したいくらいの惨劇。
血、血、血、血、
あたり一面、真っ赤に染まった。
3人で行った、海でみた夕陽なんかよりもずっと赤くて、黒い・・・。