源氏名・ゆい




「愛美ちゃん?」


「…え?あ……大丈夫。何もないよ。」


「そっか。ならいいんだけど。」


私は上手く会話が出来なかった

動揺してしまった


思い出したくないのに…


「………外出ない?」


「え?」


「俺、この雰囲気やっぱダメだわ。」


周りを見ると、みんなキスをしていた


このクラブはお酒の度数が高いのを揃えてるし、中にはクラブから薬を買ってやってる人もいる


知らない人でもクラブで出会って一緒に踊って、キスしたりそのままお持ち帰りされる事も少なくない


「行こ!」


そう言って那千君は私の腕を引っ張り、外へ出た

外はうす暗く、もう少しで朝になる


「あ〜、外は気持ちいいわ!」


那千君は背伸びして、ズボンのぽっけからタバコを出し火を付ける


この一連の動作が、私には綺麗に見えた




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