源氏名・ゆい
ピロリロリン―…
「あ、ちょっとごめん!」
電話に出ると、笑顔だった那千君の顔が少し困った表情になった
「……はい。わかりました。」
「愛美ちゃん、本当にごめん!急に仕事行かなくちゃダメなった。」
会社からの電話だったんだ
落ち込んだらダメ
「ううん。仕事、頑張ってね。」
「ごめんな?」
また頭にポンと乗せてきた
那千君に触られたところが熱くなるのを感じた
私は駅まで送ってもらった
「本当に家までじゃなくていいの?」
「うん。けっこう遠いから。」
「そっか。じゃあ、また時間が合ったら遊ぼう!」
「うん。バイバイ。」
私は離れていく車をずっと見ていた
「また…か…」
時間が合ったら
那千君は昼、私は夜働いている
今度時間が合うのっていつなんだろう
そんな事を思いながら、私は自分の家に帰った
.