源氏名・ゆい
第4章・気持ち
あれから一週間
私から連絡はしないし、向こうからも来ていない
私は自分の気持ちが分からなかった
人に深く関わりたくない
関わったって自分にメリットはない
そう今でも思っている
でも……
那千君に初めて会った時から、どこか惹かれてしまっている自分もいる
もう、あんな思いはしたくないのに……
「ゆいちゃん?」
「……え?」
「気持ちよくない?」
あ……今は仕事中だ…
今日も潤というお客さんが来ていた
若いのに何回も来ている
私だけを指名して
「ごめんなさい。なんだか、今日はちょっと体調が悪いみたい………。」
最中に他の事を考えていたせいで、演技を忘れてしまっていた
「じゃあ、よくするの使ってあげようか?」
「え?」
「今日、玩具持ってきてるんだ。」
「それはお店で禁止だから…」
言いかけて潤は私に耳元で言った
「お金、20直接あげるよ。」
お店は暗いし音楽もうるさいから玩具を使っても、お金の受け渡しも見えない
私はまた、感情のない自分に戻る事にした
人を信用したらダメ
お金は裏切らない
私は元の自分を思い出した
「……いいよ。」
私の闇が、心を支配したのだ
.