熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
「見られて恥ずかしくない程度には、鍛えてるつもりだけど」


優月はチラリと私に視線を流してきて、ズケズケと言い放つ。


「鍛えてるからって、私に軽々しく見せないで!」

「別に綾乃に見せるつもりもなかったけど。仕方ないだろ、布団いきなり引っ剥がしたのはお前だし。痒きゃ、俺だって無意識にケツくらい掻くわ」


これ見よがしな溜め息をつく優月に、私は真っ赤な顔のまま、プルプルと震えた。


「ゆ、優月のバカ! デリカシーなさ過ぎ!」


そう言って頬を膨らませて、私は身体を捩って優月に背を向けた。
私の背中に優月が視線を向けているのが感じられるから、振り返ることもできない。
けれど、「あのなあ、綾乃」と、彼がどこかふて腐れたようにボソッと呟くのが聞こえた。


「俺たち、恋することにしたんだぞ。初めてを全部教えてほしいって、俺を素で煽ってきたの、お前だろうが、綾乃」

「っ……! 優月っ! 運転手さんが聞いてるのにそういうことっ……」


あまりにサラッと私が言ったセリフを口にする優月にぎょっとして、私は大きく彼を振り返ってしまった。
けれど優月は悪びれる様子もなく、ちょっと窮屈そうに長い足を組み上げる。
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