熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
ところが。
「あら、ユヅキ。ホテルに部屋を取ってもらっても困るわ。この足じゃ、週明けまでベッドから起き上がれるかわからないもの。トイレもままならないじゃない」
真っ白い包帯が巻かれた足を摩りながら、マリーさんが優月を遮った。
彼女の主張はごもっともで、優月もグッと口を噤む。
「久々に、ホヅミ本邸にお邪魔したいわ。いいでしょう? ユヅキ」
それを聞いて、私は反射的に息をのんだ。
頭では、彼女の要求は至極当然なものだとわかっている。
そして、怪我をさせてしまった張本人の私が、そこに異議を唱えることはもちろんできない。
だけど。
――嫌だ……。
心に過ったのはそんな感情で、私は思わず縋るような目を優月に向けてしまった。
優月は私の視線を気に留める様子はなく、溜め息交じりに前髪を掻き上げてから、何度か小さく頷く。
「ま、そう来るよな。ウチなら使用人の手もあるし……」
マリーさんの要求にそう呟いた時には、優月は既にスーツの上着からスマホを取り出していた。
診察台に背を向け離れて行って、電話をかけ始める。
家のお手伝いさんに連絡をして、部屋を準備するよう指示を出そうとしているのはよくわかった。
「あら、ユヅキ。ホテルに部屋を取ってもらっても困るわ。この足じゃ、週明けまでベッドから起き上がれるかわからないもの。トイレもままならないじゃない」
真っ白い包帯が巻かれた足を摩りながら、マリーさんが優月を遮った。
彼女の主張はごもっともで、優月もグッと口を噤む。
「久々に、ホヅミ本邸にお邪魔したいわ。いいでしょう? ユヅキ」
それを聞いて、私は反射的に息をのんだ。
頭では、彼女の要求は至極当然なものだとわかっている。
そして、怪我をさせてしまった張本人の私が、そこに異議を唱えることはもちろんできない。
だけど。
――嫌だ……。
心に過ったのはそんな感情で、私は思わず縋るような目を優月に向けてしまった。
優月は私の視線を気に留める様子はなく、溜め息交じりに前髪を掻き上げてから、何度か小さく頷く。
「ま、そう来るよな。ウチなら使用人の手もあるし……」
マリーさんの要求にそう呟いた時には、優月は既にスーツの上着からスマホを取り出していた。
診察台に背を向け離れて行って、電話をかけ始める。
家のお手伝いさんに連絡をして、部屋を準備するよう指示を出そうとしているのはよくわかった。