熱情求婚～御曹司の庇護欲がとまらない～
いきなり距離を詰める私を見上げて、マリーさんが警戒するようにわずかに身を引いた。


「ごめんなさい、マリーさん。本当に、失礼いたしました！」


彼女が何か言おうと口を開きかけるのを遮り、声を張って謝罪をしてから、直角に頭を下げた。
マリーさんは黙っているけれど、私の肩に後ろから優月が手をかける。


「綾乃。お前はもういい。後は俺が……」


そんな言葉が続くのを聞いて、私は勢いよく頭を上げる。
そして背後の優月を振り返り、「ダメ！」と繰り返して、彼を睨みつけた。


「私がいけないんだもの。優月はこれ以上何もしなくていいの」


こんなに強気でムキになる私が珍しいせいか、優月が戸惑った様子で私の肩から手を離した。
私は一度大きく息を吸って、再びマリーさんに真正面から向かい合う。
私の方が見下ろす姿勢のせいか、マリーさんがさっきより怯む様子が窺える。


「マリーさん。優月は関係ないんだから、これ以上優月に要求するのはやめてください。足の腫れが引いて帰国便に乗れるようになるまで、私がマリーさんのお世話をしますから」


胸を張ってそう言った途端、後ろから「えっ！？」とひっくり返った声が聞こえてきた。
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