熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
「なっ……」


優月が目を剥きながらマリーさんを振り返った。
けれど彼女はその視線を無視して、私を見上げてくる。


「じゃ、アヤノ。早速だけど。疲れたから早く休みたいの。お風呂の準備して」

「え? お風呂……?」

「そうよ。湯舟に入るのと出るの、手伝いなさい」


三角座りを解いて、マリーさんはお尻をずらしながらベッドサイドに座り直した。
床に足を垂らし、胸を張る。
胸を突き出すその姿は、座っていても十分な貫禄がある。


それでも私はどうしても疑問で、「あの」と言葉を挟んだ。


「足首の腫れが引かない状態で、湯舟に浸かって大丈夫ですか……?」


多分、至極真っ当な質問だったはずだ。
だけど、マリーさんには上げ足を取ったように聞こえてしまったのか、とても不機嫌に私を睨む。


「文句があるなら、全部ユヅキにお願いするからいいわ」

「っ……や、やります。お手伝いします!!」


その一言で、マリーさんが私に意地悪する気満々なのは感じ取れた。
すぐに根を上げると思っているんだろう。
だからこそ、私はここで屈するわけにいかない。


「綾乃!?」


優月は焦って私を止めようとするけど、これは私の意地。
一生続くわけじゃないんだから、やってやる。
とにかく……マリーさんのお風呂のお手伝いなんて、優月には絶対させられない!!
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