熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
だから私は優月を見上げて、ニッコリ笑ってお礼を言った。


「ありがと」

「ありがと、じゃねーよ! 気付いてないのか、お前」


なのに、優月は生え際から前髪を掻き上げ、「はーっ」と大きな息を吐いた。


「え?」


困惑しながら首を傾げると、優月はガシガシと頭を掻いてから背を屈め、私に小声で耳打ちした。


「ブラジャー。……透けて丸見え」

「……っ!? ええっ!!」


優月の言葉にギョッとして、私は大きく目を見開いた。
どんな状態なのか確かめようと、カーディガンの前を開き自分を見下ろそうとする。
途端に、「バカ」と、優月が私の両手を掴んだ。


「いいから着てろ。最初に見つけたのが俺で良かった。本邸には俺以外の男もいるんだから、もっと気を付けろよ……」


優月はそう言って、再度太く深い溜め息をついた。
そのまま私から目を背け、クルッと背を向けてしまう。
頭だけじゃなく、身体までカアッと熱を帯びて火照るのを感じた。


「ごめん……」


あまりの恥ずかしさで消え入るような声で謝りながら、私はしっかりとカーディガンの前を合わせて、ギュッと握り締めた。


「いいから、ちゃんと着ろ」
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