熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
彼は穂積優月(ほづみゆづき)、三十二歳。
このオフィスビルを構える『穂積コーポレーション』の社長だ。
日本のみに留まらず、世界でも有数の大コンツェルン、穂積グループ。
グループ内でも中枢的な役割を担う、穂積コーポレーションの社長の座に君臨する彼は、穂積本家トップの嫡男。
つまり、穂積グループの総領息子だ。
「俺が留守の間、社内に変わりは?」
出迎えた部下たちに彼がそう声をかけている間に、私は運転手が開けてくれたドアから外に出た。
車の後ろを回って、社長……優月の斜め後ろに控える。
「社長。お荷物はいかがしますか」
話の途切れ目を狙って問いかけると、優月はチラリと私に目を向けた。
「スーツケースは任せる。ボストンバッグはこのまま持って行くよ」
「かしこまりました」
私がお願いするまでもなく、彼の短い返事を聞いた男性たちは、すぐにリムジンのトランクに向かっていた。
それを見て、優月は自動ドアを通りオフィスビル内に足を進める。
私もその後に付き従った。
エントランスの中ほどで、総合受付の女性社員が全員起立して頭を下げる。
優月は彼女たちを一瞥して軽い会釈を返しながら、役員フロア直結のエレベーターに向かっていく。
このオフィスビルを構える『穂積コーポレーション』の社長だ。
日本のみに留まらず、世界でも有数の大コンツェルン、穂積グループ。
グループ内でも中枢的な役割を担う、穂積コーポレーションの社長の座に君臨する彼は、穂積本家トップの嫡男。
つまり、穂積グループの総領息子だ。
「俺が留守の間、社内に変わりは?」
出迎えた部下たちに彼がそう声をかけている間に、私は運転手が開けてくれたドアから外に出た。
車の後ろを回って、社長……優月の斜め後ろに控える。
「社長。お荷物はいかがしますか」
話の途切れ目を狙って問いかけると、優月はチラリと私に目を向けた。
「スーツケースは任せる。ボストンバッグはこのまま持って行くよ」
「かしこまりました」
私がお願いするまでもなく、彼の短い返事を聞いた男性たちは、すぐにリムジンのトランクに向かっていた。
それを見て、優月は自動ドアを通りオフィスビル内に足を進める。
私もその後に付き従った。
エントランスの中ほどで、総合受付の女性社員が全員起立して頭を下げる。
優月は彼女たちを一瞥して軽い会釈を返しながら、役員フロア直結のエレベーターに向かっていく。