熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
優月の悪友、進藤さんは、私の前の空いた席を見止めて、更に近付いてくる。
「前、いい?」
「はい。もちろん」
私の返事とほぼ同時にテーブルにトレーを置いた進藤さんに、一緒に来ていたらしい男性数人が軽く声をかけて先に進んでいった。
そっと見上げた私には、ぎこちない会釈を返していく。
進藤さんはさっさと椅子に腰を下ろすけど、私は遠ざかっていく男性たちの背を見送っていた。
「どうかした?」
私の視線が自分を通り越して先に向けられているのに気付いたのか、進藤さんは箸を持ちながら首を傾げた。
私も同じ仕草をして誤魔化したけれど、勘のいい彼は私が何を気にしているか見透かしたらしい。
「ここには全員座れる席がないからだよ。綾乃ちゃんを見て、『社長の許嫁だ』って避けたわけじゃない」
進藤さんのフォローを聞きながら、私はそっと肩を竦めた。
すぐにそうフォローできるのは、私が他の男性社員にどんな風に見られているか、彼もよく知っているからだ。
「でも……これからは晴れて自由の身、だろ?」
向かい側で頬杖をついた進藤さんに探るようにそう言われて、私は箸を持った手を一瞬ピクッと震わせた。
私の反応に、彼がフフッと目を細めて笑う。
「前、いい?」
「はい。もちろん」
私の返事とほぼ同時にテーブルにトレーを置いた進藤さんに、一緒に来ていたらしい男性数人が軽く声をかけて先に進んでいった。
そっと見上げた私には、ぎこちない会釈を返していく。
進藤さんはさっさと椅子に腰を下ろすけど、私は遠ざかっていく男性たちの背を見送っていた。
「どうかした?」
私の視線が自分を通り越して先に向けられているのに気付いたのか、進藤さんは箸を持ちながら首を傾げた。
私も同じ仕草をして誤魔化したけれど、勘のいい彼は私が何を気にしているか見透かしたらしい。
「ここには全員座れる席がないからだよ。綾乃ちゃんを見て、『社長の許嫁だ』って避けたわけじゃない」
進藤さんのフォローを聞きながら、私はそっと肩を竦めた。
すぐにそうフォローできるのは、私が他の男性社員にどんな風に見られているか、彼もよく知っているからだ。
「でも……これからは晴れて自由の身、だろ?」
向かい側で頬杖をついた進藤さんに探るようにそう言われて、私は箸を持った手を一瞬ピクッと震わせた。
私の反応に、彼がフフッと目を細めて笑う。