熱情求婚～御曹司の庇護欲がとまらない～
そのちょっと大きな画面に、彼女の言う週刊誌のゲラが映し出される。
デカデカと踊る仰々しい見出しに、私も絶句した。


『白昼堂々、女セレブによる乱れた恋のバトル！　奪い合われる果報者は穂積グループの御曹司』


タブレットを持つ手が震えるのを必死に抑えながら、私はその暴力的な記事を読み進めた。
マリーさんの言う通り、そこに書かれていたのは優月に対する中傷としか思えない内容。
婚約者がいる身でありながら二股をかけ、痴情のもつれから女同士のバトルに発展し、泥沼化したというような書かれ方をしているのだ。


「どんなに高級ホテルの敷地内でも、人をネタにして楽しむ暇で腐った人間っているもんなのね。多少は身から出た錆と言えなくもないけれど、それももう何年も前のこと。完全に一昔前の内容だわ。ユヅキに関しては女にだらしない見境のない男って悪意が込められてるし、アヤノについても酷い書き方だわ」


マリーさんは、記事に対する強い嫌悪感を憚らず、忌々しそうに舌打ちをした。


「こんな記事を売り物にするマスコミもマスコミだけど、喜んで寄ってたかるウジ虫がいるからってことか。ホント、汚らわしい」


私は記事を読み終えて、胸が煮えくり返りそうな気分になるのをどうにか堪えた。
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