熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
それにつられて、私はもう一度マリーさんを振り返る。
肩越しに彼女を見下ろしてから、私は肩を竦めてクスッと笑った。


「穂積グループと優月の顔に泥を塗るような真似をしたのは私です。私も穂積コーポレーションの一社員ですから。上司の優月に全責任を取らせるわけにいきません」


私はきっぱりとそう言って、マリーさんの手を自分の手から離させた。
もう一度ちゃんと彼女に向き合い、深く頭を下げる。


「私と優月だけじゃない。マリーさんにもご迷惑かけることになります。本当に申し訳ありません」


そう言って頭を上げた時、私は決心を強めていた。
今の私が考えつく、私にできる唯一の対策。
それがベストではないかもしれないけど、私にはそれしか思いつかないから。


「私、社会人らしく、責任取ってきます。ごめんなさい、多分帰国のお見送りは、できないと思います」

「アヤノ!」


マリーさんが呼ぶ声を背で聞きながら、私は大きく胸を張って、客室を後にした。
今まで味わったことのない強い緊張感で、胸がドキドキいっている。
それでも、私は真っすぐ前を向いて歩き続けた。
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