熱情求婚～御曹司の庇護欲がとまらない～

「お騒がせしたこと、申し訳ありません。私が彼女に暴力を振るった理由については、記事の内容とそれほど大差はありませんので、弁解も致しません」

「それはつまり……その女性への嫉妬、ということか？」


副社長が、ほんのわずかに好奇を漂わせる視線を私に向けてくる。
私はグッと言葉をのんでから、一度頷き返した。


「婚約は解消しましたが、私は社長に未練がありました。だから、理由は女の醜い嫉妬です。そういうことと解釈していただいて、結構です」


それ以上の詮索は拒むつもりで、私は少し早口に言い切った。
そして、もう一度深々と頭を下げる。


「私が未熟なせいで、社長を始め穂積グループ全体に、多大なるご迷惑をおかけしてしまいました。本当に申し訳ありません」


私の謝罪に、誰もがどう返すべきか逡巡しているようだ。
私は返事を待たずに顔を上げて、自分の背を押すつもりで、大きく息を吸った。


「十時に一斉送信するコメントは、穂積社長秘書で元婚約者の私名義にしていただけないでしょうか。もちろん、これ以上のご迷惑はおかけしません」