熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
私は半分怒鳴るように、優月を遮った。
そのまま、勢いに任せて彼の胸に抱きつく。


「えっ……」


頭上で小さく息をのむ音を聞きながら、私はギュッと目を閉じた。


守られるだけじゃ嫌。守りたい。私だって。
そう強く願った時、未熟だった恋が溢れ返った。
昨夜は『好き』としか言えなかった私が噎せ返るほど、大きく深い恋心が迸る。


「優月が好き。大好き。胸が壊れそうなくらい、愛してる。だからお願い、私にも優月を全部守らせてよ……」


涙で声を詰まらせながら、私はそっと顔を上げた。
優月は私の両肩に手を置いて、目の下を赤く染め、私を真っすぐ見つめている。


視線が宙で絡み合うと、優月が私の目元にそっと指を伸ばしてきた。
反射的にピクッと身を震わせる私の目尻から、涙の雫を優しく掬い取ってくれる。
そして。


「……くっそ……こんなタイミングで。なんで言うんだよ」


そう言って、優月は唇を噛んで俯いた。
優月のどこか切なげな表情に、私の胸がきゅうんと疼く。


「俺にとって綾乃は、守るべき存在でしかないと思ってたのに。大事な女に守りたいなんて言われたら、ダメだって言えないじゃないか……」


少し悲し気な、やるせない様子の優月が愛おしい。
そんな彼に、私の胸はただただときめく。
まるで締め付けられるように苦しいのに、欲しい気持ちが止まらない。
< 233 / 255 >

この作品をシェア

pagetop