熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
「これ、ありがとう。新しいの買って返すよ」

「あ、そんな。いいですいいです」

「そう? それじゃあ、洗って返すだけでいい?」


そう言って、私が頷くのを見ながら、スーツの上着のポケットにねじ込んだ。
その仕草を見ていた私を、進藤さんは上目遣いで見遣ってくる。


「まあ……優月の反応に関しては置いとくとして。……君はどうだったの? 綾乃ちゃん」

「え?」

「優月に押し倒させたんだろ? もちろん、そんなシチュエーションになったの、初めてだよね。君は欲情……と言うか、優月相手にドキドキしなかったのか?」


進藤さんはテーブルに頬杖をつき、ちょっとニヤニヤしながら私に探り入れてきた。
それを聞いて、私は軽く視線を横に逃がしながら、思い出して考えてみる。


「同じことを優月からも聞かれたんですけど」

「うん?」

「なんせ仕掛けたのは私なので、最初からちゃんと心の準備はできていて」

「……つまり、全然色っぽい事態にはならなかったってことか……」


私の返事を聞いて、進藤さんは苦笑しながら乾いた笑い声をあげた。
私は再びテーブルに肘をつき、組み合わせた両手の指の上にぼんやりと顎をのせる。
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