熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
「許嫁って関係を、白紙にできればそれだけで良かったんです。でも、ただ解消って言っても、なんか今更だし。納得してくれなそうだったから……」
私はそう言いながらグラスをトレーに戻し、何気なく周りに視線を彷徨わせた。
進藤さんと向き合って話をしているうちに、同じテーブルにいた人がすっかり入れ替わっていた。
まだ忙しなくガヤガヤしている社食を、私はボーッと眺める。
「どうしても、他の誰かと恋がしたいっていうわけじゃないんです。でも……」
そう答えながら、私は優月の姿を思い浮かべる。
私にとっては、生まれた時から二十五年間許嫁だった人だ。
今までずっと、優月のお嫁さんになることを疑ったこともなかった。
だから正直なところ、婚約を解消した今も、自分が優月以外の人と結婚するなんて信じられない。
もちろん、他の人との恋にも現実味がない。
「そっか。……でも、せっかく自由の身になったんだから、してみればいいよ。恋」
「えっ……?」
いつの間にか、私の独り言は尻すぼみになって消えていた。
進藤さんに声をかけられて、ハッと我に返る。
テーブルの向こうでニヤニヤしながら見ている彼に戸惑いながら、私は首を傾げた。
「恋。してみようよ」
進藤さん短く繰り返す。
今度ははっきり耳に届いたその言葉に、私は無意識にゴクッと喉を鳴らしていた。
私はそう言いながらグラスをトレーに戻し、何気なく周りに視線を彷徨わせた。
進藤さんと向き合って話をしているうちに、同じテーブルにいた人がすっかり入れ替わっていた。
まだ忙しなくガヤガヤしている社食を、私はボーッと眺める。
「どうしても、他の誰かと恋がしたいっていうわけじゃないんです。でも……」
そう答えながら、私は優月の姿を思い浮かべる。
私にとっては、生まれた時から二十五年間許嫁だった人だ。
今までずっと、優月のお嫁さんになることを疑ったこともなかった。
だから正直なところ、婚約を解消した今も、自分が優月以外の人と結婚するなんて信じられない。
もちろん、他の人との恋にも現実味がない。
「そっか。……でも、せっかく自由の身になったんだから、してみればいいよ。恋」
「えっ……?」
いつの間にか、私の独り言は尻すぼみになって消えていた。
進藤さんに声をかけられて、ハッと我に返る。
テーブルの向こうでニヤニヤしながら見ている彼に戸惑いながら、私は首を傾げた。
「恋。してみようよ」
進藤さん短く繰り返す。
今度ははっきり耳に届いたその言葉に、私は無意識にゴクッと喉を鳴らしていた。