熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
「恋、ですか。私が……?」


私はぎこちなく笑いながら、なんとなく進藤さんの後方に視線を向けた。
さっき彼が一緒にいた男性たちを見ても、私はやっぱり『社長の許嫁』で、社内の男性からは敬遠されるのを思い知ったばかりなのに。


「私に、できるんでしょうか……」


私の返事は、確かに怯んだ。
けれど進藤さんは、軽い調子で『大丈夫』と親指を立ててみせる。


「まあ確かに、綾乃ちゃんって高嶺の花ではあるけど……」

「って、あの、なんですか、高嶺の花って!!」


進藤さんがシレッと放った言葉に目を剥いて、私はついつい腰を浮かせていた。
私を軽く上目遣いで見遣りながら、進藤さんはクスクス笑う。


「無自覚? まあ、優月から面と向かって褒められたことないかもしれないけど。綾乃ちゃんって可愛いよ。色白くて肌は透き通ってるみたいだし。ちゃんと手入れしてるのかな。艶々の黒髪は、清楚で綺麗だし。目は円らでキラキラしてる。育ちがいいから、仕草は可憐だし、物腰は優美だ」

「かっ……!? い、いえ、そんな! 褒め過ぎです!」


言われ慣れない賛辞のオンパレードに、顔に変な熱が上がってきそうだ。
暑くもないのに、顔に風を当てようとしてパタパタと手を揺らした。
それを見て、進藤さんは面白そうに目を細める。
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