熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
「ほんと、子供みたいに泣くのな、お前」

「だ、誰のせい、だとっ……」

「はいはい。俺です。……でも、思った通りの反応だったか」


クスクス笑いながらからかう優月にムッとしながら、私は顔を上げようとした。
けれど、それより先に優月の腕に力が籠り、ぎゅうっと抱き締められてしまう。
途端に、私の胸の鼓動がさっきまでとは全然違う、きゅんと疼くような反応を示した。


「ゆ、づきっ……?」


戸惑った私の口から、少し上擦った声が出た。
だって、こんな風に優月に抱き締められたのは、正真正銘これが初めてだ。


「……お前、可愛いな。ほんと」


なのに、私の髪をサラサラと指で梳きながら、優月はそんな言葉を口にする。
しみじみとした口調だけど、優月に言われたのは初めてだ。
あまりの事態に、私は優月の腕の中で固まってしまう。


「進藤が、ウブなところが堪らないって言ってたけど。っつーか、そうなったのも俺のせいなのか……」


私の反応を知ってか知らずか。
優月は私の頭上で深い溜め息をついた。


「何もしない、何も言ってやらないお前が悪いって言われても。仕方ねえよなあ……。お前の言う通り、昔から知り過ぎてる。『恋しい』じゃなくて、『愛おしい』の方がしっくりくるんだからさ」

「っ……」


溜め息交じりの優月の言葉に、ズキッと胸が痛んだ。
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