熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
喉を仰け反らせて顔を上に向け、唇の先からふうっと息を吹く。
やっぱり相当お疲れの様子だ。
「お疲れ様です。すぐに社長のお好きな紅茶淹れますね」
私はぎこちなく笑ってから、優月の上着を手に、社長室の奥にあるプライベートルームに入った。
仕事が立て込んでいる時、優月は社内に泊まり込むことも多い。
このプライベートルームは八畳ほどの狭いスペースだけど、仮眠用のベッドと造りつけのクローゼット、簡易シャワールームが備わっていて、家に帰らなくても最低限の生活レベルを守ることができる。
私はクローゼットの扉を開き、そこに優月の上着を吊るした。
社長室に戻ってみると、優月は長い足を組み上げ、床に着いた足を軸にしてユラユラと椅子を揺らしていた。
ネクタイは緩めるどころか完全に外されていて、机の上に丸めてある。
今日のアポイントはもうないけれど、いつ急な予定が入るかわからない。
だから優月が社長室でこんなにだらしない……いや、服を寛がせることは滅多にない。
身体の疲れ以上に、精神的にげんなりしているのはよくわかる。
そしてそれは私のせいでもあるから、優月の好きな紅茶を振る舞おうとして、私はドアに向かった。
なのに。
「綾乃。お茶は後でいい」
椅子に大きく背を預けた姿勢で、優月が私を止めた。
やっぱり相当お疲れの様子だ。
「お疲れ様です。すぐに社長のお好きな紅茶淹れますね」
私はぎこちなく笑ってから、優月の上着を手に、社長室の奥にあるプライベートルームに入った。
仕事が立て込んでいる時、優月は社内に泊まり込むことも多い。
このプライベートルームは八畳ほどの狭いスペースだけど、仮眠用のベッドと造りつけのクローゼット、簡易シャワールームが備わっていて、家に帰らなくても最低限の生活レベルを守ることができる。
私はクローゼットの扉を開き、そこに優月の上着を吊るした。
社長室に戻ってみると、優月は長い足を組み上げ、床に着いた足を軸にしてユラユラと椅子を揺らしていた。
ネクタイは緩めるどころか完全に外されていて、机の上に丸めてある。
今日のアポイントはもうないけれど、いつ急な予定が入るかわからない。
だから優月が社長室でこんなにだらしない……いや、服を寛がせることは滅多にない。
身体の疲れ以上に、精神的にげんなりしているのはよくわかる。
そしてそれは私のせいでもあるから、優月の好きな紅茶を振る舞おうとして、私はドアに向かった。
なのに。
「綾乃。お茶は後でいい」
椅子に大きく背を預けた姿勢で、優月が私を止めた。