熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
優月はますます不機嫌そうに顔を歪め、またしても『ふ~ん』と間延びした声を放った。


「あ、あのね、優月……」


頭のてっぺんから足のつま先まで、まるで撫でるような視線を向けられて、私は肩を縮込めながら声を発した。
優月は私を視界の真ん中に据えたまま、妙にゆっくりと足を組み替える。


「自分に好意を示して交際申し込んできた男の誘いに、軽々しく乗るなよ。しかも週末の夜に二人で酒? ……進藤のヤツ、今夜は帰さない気満々じゃねーか」


苛立つようにハッと短い息を吐いて、優月はジロッと私を睨み上げる。
私は思わず「う」と竦み上がってから、気を取り直して反論した。


「もちろん、ちゃんと家に帰ります。お酒って言っても、自分でちゃんとセーブできます」

「……まあ、お前、弱そうな見た目に反して、俺より酒強いからな。むしろ進藤の方が先に潰れそうだけど」

「そ、そうでしょ!? その辺もちゃんと考えて、お誘い受けても大丈夫って思って」

「バカか。進藤の理性が先に失くなるからヤバいんだろうが。とにかく進藤の誘いは断って、今夜は俺に付き合え」


優月はシレッと横暴なことを口にしながら、手にしたスマホを軽く放り投げ、今度は社内PHSを卓上ホルダから取り上げた。


「ちょっ……! 優月、ダメ!!」
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