熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
「ああ。もちろん俺も出席するよ」
「その時に」
私は否応なく増してくる緊張を抑えようと、一度言葉を切って大きく深呼吸をした。
執務机に置かれたソーサーに、静かにカップを戻す優月を見ながら、敢えて淡々と口を開く。
「正式に、婚約解消を申し入れます」
優月は、カップにひっかけていた指を、ピクッと震わせた。
それが、陶器と陶器がぶつかる音になり、私の耳にも届く。
「……え?」
優月がわずかに眉を寄せて、私を見上げた。
「私たちの婚約は、もともと祖父同士の口約束です。でも、当事者であるあなたのおじい様も私の祖父も、既に他界しました。もう……必要ないものかと」
私は感情がこもらないよう意識して、他人行儀な話し方を続けた。
優月が大きく目を見開き、仰け反った喉元で男らしい喉仏をゴクッと動かした。
「ひと昔前ならともかく、私と優月の婚約は誰から見ても無意味です。祖父の遺言に背くつもりはありませんが、私たちが大事にすべきはこの先の未来です。だから……お願いします。私との婚約を、解消してください」
「……綾乃?」
優月は困惑を隠せない揺れた瞳を私に向けた。
その声には、訝しさと戸惑いが色濃く滲み出ていた。
「その時に」
私は否応なく増してくる緊張を抑えようと、一度言葉を切って大きく深呼吸をした。
執務机に置かれたソーサーに、静かにカップを戻す優月を見ながら、敢えて淡々と口を開く。
「正式に、婚約解消を申し入れます」
優月は、カップにひっかけていた指を、ピクッと震わせた。
それが、陶器と陶器がぶつかる音になり、私の耳にも届く。
「……え?」
優月がわずかに眉を寄せて、私を見上げた。
「私たちの婚約は、もともと祖父同士の口約束です。でも、当事者であるあなたのおじい様も私の祖父も、既に他界しました。もう……必要ないものかと」
私は感情がこもらないよう意識して、他人行儀な話し方を続けた。
優月が大きく目を見開き、仰け反った喉元で男らしい喉仏をゴクッと動かした。
「ひと昔前ならともかく、私と優月の婚約は誰から見ても無意味です。祖父の遺言に背くつもりはありませんが、私たちが大事にすべきはこの先の未来です。だから……お願いします。私との婚約を、解消してください」
「……綾乃?」
優月は困惑を隠せない揺れた瞳を私に向けた。
その声には、訝しさと戸惑いが色濃く滲み出ていた。