熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
そんな独り言が、私の口から零れた。
ちょうど電話を終えて私の言葉を聞き拾ったのか、優月は「ん?」と目線を上に向けて訊ねてくる。
「あ、ううん! な、なんでもない」
反射的にそう声をあげ、大きく首を横に振って誤魔化した。
咄嗟に浮かべた笑顔はぎこちなくなってしまったけれど、優月は特段気にした様子もない。
用を終えたPHSをホルダに挿し、優月は机の上のノートパソコンを開いた。
「エラい渋ってたけど、進藤には今夜俺も行くこと了承させたから。時間と場所に変更はなし。ってことで綾乃、仕事再開するぞ」
「は、はい」
いきなりお仕事モードに戻った優月に慌てて返事をして、彼の執務机の斜め右前にある私のデスクに向かう。
「さっきまでの外出の商談記録、終業時刻までに完成させろ」
「はい」
「今メール送っておいた。手が空いた時に、書いてある資料手配して」
「かしこまりました」
机の前の椅子を引くまでに、ポンポンと業務命令が繰り出される。
終業時間まで後三時間。
頭の中で優先順位を組み立てながら、私も頭を仕事に切り替える。
「あ。綾乃」
椅子に腰を下ろしかけた私に、優月がチラリと視線を流してきた。
首を傾げて返事をすると、彼は頬杖をついてニッコリと私に微笑みかける。
不意打ちで向けられた笑顔に、不覚にも胸がトクンと小さな音を立てた。
ちょうど電話を終えて私の言葉を聞き拾ったのか、優月は「ん?」と目線を上に向けて訊ねてくる。
「あ、ううん! な、なんでもない」
反射的にそう声をあげ、大きく首を横に振って誤魔化した。
咄嗟に浮かべた笑顔はぎこちなくなってしまったけれど、優月は特段気にした様子もない。
用を終えたPHSをホルダに挿し、優月は机の上のノートパソコンを開いた。
「エラい渋ってたけど、進藤には今夜俺も行くこと了承させたから。時間と場所に変更はなし。ってことで綾乃、仕事再開するぞ」
「は、はい」
いきなりお仕事モードに戻った優月に慌てて返事をして、彼の執務机の斜め右前にある私のデスクに向かう。
「さっきまでの外出の商談記録、終業時刻までに完成させろ」
「はい」
「今メール送っておいた。手が空いた時に、書いてある資料手配して」
「かしこまりました」
机の前の椅子を引くまでに、ポンポンと業務命令が繰り出される。
終業時間まで後三時間。
頭の中で優先順位を組み立てながら、私も頭を仕事に切り替える。
「あ。綾乃」
椅子に腰を下ろしかけた私に、優月がチラリと視線を流してきた。
首を傾げて返事をすると、彼は頬杖をついてニッコリと私に微笑みかける。
不意打ちで向けられた笑顔に、不覚にも胸がトクンと小さな音を立てた。