熱情求婚~御曹司の庇護欲がとまらない~
その夜、進藤さんが予約してくれたのは、オフィスからほど近い小洒落た和風居酒屋だった。
『居酒屋』って、私もそれほど来慣れてないけれど、機密性の高い、高級レストランのVIP用個室での接待が当たり前の優月は、隣の声も聞こえてくる狭い半個室に戸惑いを隠せずにいた。
昼間の強気はなりを潜め、憮然とした表情をしているのがちょっとおかしい。
午後七時をちょっと過ぎて店内に入ると、六人用のお座敷席に先に入っていた進藤さんが、「お疲れ」と明るく手を上げてくれた。
突然優月が乱入することになったのに、いつもと変わらない進藤さんに、私はホッと胸を撫で下ろす。
「お疲れ様です、進藤さん。あの……本当にすみません」
背中側がすだれ風のパーテーションになっている半個室に入り、奥に詰めて座ってから、私は向かい側の進藤さんにそう言って謝った。
進藤さんは背中を後ろの壁に預けていて、後から入って来て私の隣に座る優月をチラッと見遣ると、ゆっくり背を起こした。
「気にしないで。優月は知らない仲じゃないしね」
進藤さんの言葉に、優月がピクッと眉を寄せて反応した。
「知ってる仲だからこそ、邪魔しに来たんだけど?」
「はは。邪魔って自覚はあるのか」
悪びれずにサラッと返す進藤さんに、優月はやっぱりムッとしたように口をへの字に曲げている。
『居酒屋』って、私もそれほど来慣れてないけれど、機密性の高い、高級レストランのVIP用個室での接待が当たり前の優月は、隣の声も聞こえてくる狭い半個室に戸惑いを隠せずにいた。
昼間の強気はなりを潜め、憮然とした表情をしているのがちょっとおかしい。
午後七時をちょっと過ぎて店内に入ると、六人用のお座敷席に先に入っていた進藤さんが、「お疲れ」と明るく手を上げてくれた。
突然優月が乱入することになったのに、いつもと変わらない進藤さんに、私はホッと胸を撫で下ろす。
「お疲れ様です、進藤さん。あの……本当にすみません」
背中側がすだれ風のパーテーションになっている半個室に入り、奥に詰めて座ってから、私は向かい側の進藤さんにそう言って謝った。
進藤さんは背中を後ろの壁に預けていて、後から入って来て私の隣に座る優月をチラッと見遣ると、ゆっくり背を起こした。
「気にしないで。優月は知らない仲じゃないしね」
進藤さんの言葉に、優月がピクッと眉を寄せて反応した。
「知ってる仲だからこそ、邪魔しに来たんだけど?」
「はは。邪魔って自覚はあるのか」
悪びれずにサラッと返す進藤さんに、優月はやっぱりムッとしたように口をへの字に曲げている。