熱情求婚～御曹司の庇護欲がとまらない～

なんだかフワフワした気分のまま、週末の二日間を過ごした。
日曜日の夜はなかなか寝つけなくて、月曜日の朝目覚めた時、寝ないより疲れた気分だった。
寝不足で頭の中がボーッとしたまま、身支度を整えていつも通り家を出る。


週初めの月曜日は、いつも何故だか電車が混む。
吊革に掴まることもできないまま、四方から襲いかかる容赦ない電車の揺れと、遠慮なくのしかかってくる乗客の体重に、私は足が攣りそうになりながら必死に耐えた。


東京駅に着くと、後ろから押されるがまま、ほとんど転がるように電車を降りた。
疲労困憊で丸の内方面に向かい、地上の通りに出ると、今度はせかせかと早歩きのビジネスマンの群れにのまれる。
通りを横断するにも一苦労だったけど、私はなんとか本社ビルに辿り着いた。


総合エントランスでIDを掲示して、セキュリティを通過する。
そのまま一般用エレベーターに乗り込み、役員の執務室と秘書室のオフィスがある十五階で降りた。


先週末と変わらないオフィスの空気に、何故だか心が和む。
何人か同僚や上司とすれ違う度に朝の挨拶を交わしながら、私は社長室の前に立った。
いつも通り二回ノックをしてから、ドアを開ける。


「おはようございます……」


いつもと同じ挨拶をしながら中に足を踏み入れると、窓辺に立っていた優月の姿が一番に視界に飛び込んできた。