父と息子
目を閉じながら思っていた。

案外僕は、父の帰りを待つのが好きだったのかもれない。

『本当に父を一人にしてよかったのだろうか…。』
その時 自分が、一人暮らしをしたい と言った時の父の表情を思い出した。

驚きの中にかすかなに悲しい表情があった。

母さんがいないのに父を一人にして「ただいま」と言ってくれる人もいないなんて…。


父さんは、なんでそんなに僕に気持ちを伝えるのが怖いのだろう。

そう ふっ と思った時、自分は思った。
『僕も自分の気持ちを父に伝えるのが怖い」のだと、

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