ハートソニック
ー椿Sideー
今日、城南高に転校して来た女。
____________柊雪乃。
綺麗な長い黒髪に、紫の瞳。
手足は細長く、簡単にポキッと折れてしまいそうで、身長は高すぎずも低すぎずもなく俺よりかは少し低く、尚よりかは高い。
すらっとした体型はモデルの様で、どこか近寄り難いような雰囲気を醸し出していた。
一言でいうならば、高嶺の花だと思う。
そして今、俺たちはその女と一緒に倉庫にいる。
なんで一緒かって言えば、尚がその女の事を気に入ったみたいで連れて来た。
そして、その女は俺たち緋龍の姫になった。
そしてこれから“Well come party”が始まる。
尚はスキップしながら貯蔵庫へと行き、弥生と翼と翔はセッティングなどをする。
俺は、雪乃と一緒に邪魔にならない場所で突っ立ってる。
二人の間に会話はなく、短く長い沈黙が続く。
チラリと雪乃を見ると、なんだか凄く寂しそうな表情をしていた。
どうしてそんな表情をするのか、俺は気になった。
なんだか今にも崩れ消えてしまいそうで、とても心配になった。
誰かが彼女の手を引いていないと、何処かへ消えてしまいそうだ。
なんとなくそう思い、俺はちょっぴり怖かった。
なぜかは分からないけど怖いと思った。
あの時みたいに大切な人を失うと思うと怖くて仕方がなかった。
雪乃は俺がしっかりと守らないと………。
ー椿Side・endー