月華の陰陽師1ー朧咲夜、裏の真相ー【完】
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その再会は突然過ぎて、俺の占(せん)にも出ていないほどいきなりぶち込まれた現実で、一瞬目の前の奴が本物かどうか疑ってしまった。
だが、その名はすぐに口をついた。
「――黒(くろ)!」
ずっと前に離れ離れになった幼馴染。
俺が呼びかけるより先に振り向いたのは、前髪に銀色が一房混じった端麗な面立ち。
こちらを見て、ふわりと柔らかい表情になる。
「白(はく)」
――『はく』。
俺をそう呼ぶのは、世界にただ一人だ。
「黒、天龍(てんりょう)から戻ったのか?」
駆け寄った、驚きを隠せない俺に、『くろ』――影小路黒藤は微笑を浮かべる。