月華の陰陽師1ー朧咲夜、裏の真相ー【完】


さすがに驚いたのか、桃子は目を見開いた。
 

黒は部屋の外で待機しているが、口を出す気はないようだ。


「……と、ずっと言いたかったんだ」
 

般若の面の下で、冬芽の声は揺れる。


「だが、御門の主と小路の若君のおかげで、見つかりそうなんだな? 桃子の探し物」
 

桃子は一度唇を噛んで、黙ったまま肯いた。


「御門の主」
 

冬芽が、般若の面のまま俺の方を見て来た。


「どうか、よろしく頼み申し上げる。桃子がこれ以上、この世界で迷わないように導いてやってほしい」


「……ああ。約束しよう」
 

妖異と簡単に約束なんてかわすものではない。


だが、冬芽のこの願いは叶えたかった。
 

だから、応じた。

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