月華の陰陽師1ー朧咲夜、裏の真相ー【完】
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神宮流夜と華取咲桜がやってきたのは、寺だった。
桃子はここに何があるのかわかっているらしく、挙動不審だ。
流夜と咲桜には万が一でも桃子の姿が見えないように、俺たち三人を囲むように結界を張っている。
一つの墓地の前に、流夜と咲桜は並んだ。
俺たちにも二人の声が聞こえるように、印を結んだ。
――現状二人は、桃子が美流子であるとは知らないようだと無炎が伝えて来た。
つまり本人たちは、互いが縁戚であるとも知らないのだろう。
「はじめまして、桃子さん。在義さんには認めてもらっていますが、咲桜さんと結婚前提で付き合っています」
へー。結構真面目だな。
隣の桃子を見遣ると、ただ真っ直ぐに二人の方を見ている。
流夜の隣の咲桜は俯き気味だ。
「咲桜のこと愛してるので、心配なさらずに俺にください」
「! え、どういう言い方⁉ それって一般的なの⁉」
「咲桜としか考えたことないから一般的とか知らないけど、咲桜の母君だからストレートに言わないと曲解上等だろうなあ、と」