月華の陰陽師1ー朧咲夜、裏の真相ー【完】


ふむ。娘はそういう性格なのか。


しかし流夜も墓前とはいえ、ずけずけと物を言うヤツだな。
 

咲桜は「う」と息を詰まらせる。


「まあ、反対されてももらっていきますけど」


「今までの挨拶台無しだよ!」
 

………。
 

咲桜に一票。在義、よくこいつを娘の相手に認めたな。


「……結構な性格してますね、娘さんの彼氏」
 

遠くに見つつ、黒に言えたことかよと思いつつ、しかし俺は口にはしなかった。


墓石の向かう流夜は続ける。


「いつもの調子、戻ったな」


「う」


「一番は、咲桜に、生きていることを後悔させませんので、ご安心ください」


「―――――――」
 

涙、だった。
 

桃子は、娘とその恋人である弟を、ただ、見て、泣いていた。

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