月華の陰陽師1ー朧咲夜、裏の真相ー【完】


黒から聞いたように、咲桜は桃子の娘で、流夜は戸籍上の弟だ。


真実姉弟ではないから問題は薄いのかもしれないが、実はこの二人、同じ学校の教師と生徒でもある。


どんだけ禁断ぶち抜く気なんだか。


「……ありがとう、ございました」


「「―――」」
 

桃子が、声を発した。
 

黒と同時に振り向くと、桃子は泣きそうな顔に笑みを浮かべていた。


「桃子……」


「あの子が……あの子たちが一緒にいることを、在義さんならゆるしてくださいます。だから、わたしはここまで、ということですね」
 

桃子が、そっと両手を持ち上げた。


その指先から小さな光があふれだし、形を失っていく。


……昇天のときだ。


「白桜さん、黒藤さん、……冬芽さんも……ありがとうございました」


「もう、いいのか?」
 

俺が問うと、桃子は目を細めて首をかたむけた。

< 58 / 84 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop