月華の陰陽師1ー朧咲夜、裏の真相ー【完】
黒から聞いたように、咲桜は桃子の娘で、流夜は戸籍上の弟だ。
真実姉弟ではないから問題は薄いのかもしれないが、実はこの二人、同じ学校の教師と生徒でもある。
どんだけ禁断ぶち抜く気なんだか。
「……ありがとう、ございました」
「「―――」」
桃子が、声を発した。
黒と同時に振り向くと、桃子は泣きそうな顔に笑みを浮かべていた。
「桃子……」
「あの子が……あの子たちが一緒にいることを、在義さんならゆるしてくださいます。だから、わたしはここまで、ということですね」
桃子が、そっと両手を持ち上げた。
その指先から小さな光があふれだし、形を失っていく。
……昇天のときだ。
「白桜さん、黒藤さん、……冬芽さんも……ありがとうございました」
「もう、いいのか?」
俺が問うと、桃子は目を細めて首をかたむけた。