月華の陰陽師1ー朧咲夜、裏の真相ー【完】
「大事な二人を見ることが出来ました。これで……わたしには十分過ぎるほどです。あとは……生きている方々にお任せします」
「……そうか。ならば、このまま貴女をおくろう」
だんだん光に包まれる場所が増えて行く。
黒に視線を送ると、肯き返された。黒が先に口を開く。
「華取桃子――いや、神宮美流子。魂の列(れつ)に則(のっと)り、貴女がゆくべき世界へ」
「静かに、その魂、穏やかに在るように――」
一気に、大きな光に桃子が包まれる。
光の中で、桃子はまた笑顔を見せた。
そして、音にはならなかったがそっと口を動かし、――すっと天に届くように伸びた光の中に消えた。