月華の陰陽師1ー朧咲夜、裏の真相ー【完】
「ん。ちょっとあってな」
「お前んとこは色々ありすぎだからなぁ……」
「ま、お互いサマで。それより白、なんでそんな――」
「ちょっと待てーい!」
俺と黒の間に割って入った小柄な少女は、俺が物心ついたころから一緒にいる水旧百合緋(みなもと ゆりひ)嬢だ。
学内では美少女と名高く、百合姫を狙う不届き者を追い払うのは俺の役目だ。
そんな綺麗な瞳でキッと黒を睨みつける百合姫(ゆりひめ)。
「黒藤! なんであんたがここにいるのよ!」
「そりゃあ、転校してきたから?」
このとぼけた感じ、黒は変わらないようだなぁ。
「そういう意味じゃないわよ! あんたは影の――
「それより白。………」
「? どうした?」
「な、なによ黒藤」
百合姫を遮った黒が俺を見て急に黙ったと思ったら、次の瞬間、当然のようにキスしてきた。
三秒後、突き飛ばしてからかかと落としを喰らわせた。