月華の陰陽師1ー朧咲夜、裏の真相ー【完】
「ええ。最初から申し上げているように、わたしは華取桃子です」
「憶えているんでしょう? 彼女は真実貴女の娘であり――彼は貴女の弟であると」
桃子は表情を変えない。
それだけが反応だった。俺は続ける。
「その、理由も。察していないはずがない」
「……あなたはタチが悪いですね」
「よく言われます」
「神宮は――」
桃子は、軽く右手を挙げ、何かを包むように手を開いた。
「司に次ぐ神祇三家のひとつです――」
桃子の掌に、光の球が浮かぶ。
神祇とは、簡単に言えばバランサーだ。