月華の陰陽師1ー朧咲夜、裏の真相ー【完】
「そう思います。私の本当の父も、私ほどのことは出来ないほどに代々力は弱まっていましたから。今でも始祖と同程度の力があるのは、司くらいのものでしょう」
「でしょうねえ。今代が始祖ですからねえ」
俺の間延びした答えに、桃子はくすりと笑った。
「彼女、私が神祇だと気づいていませんでしたね。貴方が教えたんですか?」
「ええ。華取はうちの流派ですから、白より先に俺が気付いて当然です」
「……よいのですか?」
「いいんですよ、白はあれで。――御門は光の陰陽師だ。闇は小路(うち)が引き受ける」
「あなたは――」
「貴女が神祇であるというなら、勝手に詮索したお詫びに一つお教えしましょうか?」
「? 話を逸らすのうまいですね」
「よく言われます。水鏡(みかがみ)って言うんですけど、これから貴女が向かう先でも、貴女の大事な人たちの姿を見ることが出来ますよ。……会得出来るかどうかは、貴女次第ですが」
まあ、神祇である桃子なら会得するだろうなあ、と思いつつ、それを伝えた。