月華の陰陽師1ー朧咲夜、裏の真相ー【完】
「ねえ、黒藤さん」
「なんです?」
「私、霊体、なんですよね?」
「そうですね。昇天したから、現世じゃないどこかへ行くことになると思いますよ」
「霊体って……守護霊にはなれるんですか?」
「いや、霊だから守護霊なんでしょうが。まあ、すぐには無理かもしれませんが……あなたの場合、神祇宗家の血筋ながら記憶喪失でその力を使っていませんでしたから、普通の神祇よりも持っている霊力が大きいでしょう。向こうでどう判断されるか知りませんが、なれる可能性はあると思いますよ。誰かの守護霊、なりたいんですか? 旦那さん? 娘さん?」
「夜々ちゃんです」
「……ややちゃん?」
誰だ。俺の情報網にない名前だ。
「華取のお隣の家の、朝間夜々子ちゃんです。在義さんの幼馴染で、在義さんのことが大すき同士の親友です」
………え。在義の幼馴染で……大すき同士?