月華の陰陽師1ー朧咲夜、裏の真相ー【完】
「……修羅場にはならなかったんですか?」
「なりかけました。でも夜々ちゃん、すぐに私のことゆるしちゃったんですよ」
苦笑する桃子。
……女の友情ってわかんねえ。
白と百合姫の友情も、俺にはいまいちわからないくらいだ。
「それで――友達に? 家族じゃなくて、その方の守護霊になりたいんですか?」
てっきり、在義か咲桜、あるいは流夜の名前が出てくるかと思った。
ぶっ飛んだ方向から投げ返されてきたよ。
「ええ。咲桜にはあの子がいるから大丈夫だし、在義さんには夜々ちゃんがいるから大丈夫です。桃子(わたし)は家族のために生きて死にました。だからあと、残された時間は友達のために使いたいんです。夜々ちゃんの傍にいれば在義さんのこともずっと見ていられますし、咲桜のことも見守れます。私的には一石三鳥です」
「……あなたは……と言うか、神祇は面倒くさい考え方しますね」
実際、何羽の鳥がいるかわからないハナシだな。
「元締めは司ですよ?」
「司が一番面倒ですよ。直属の主家に言うのもなんですけど。……希望が叶うと、いいですね」
「はい」
――司を主家としていながら、影小路と月御門は、神祇ではない。