月華の陰陽師1ー朧咲夜、裏の真相ー【完】
あくまで陰陽師一族。
……という線引きが、神祇の中には気に喰わない奴が多い。
司家に重宝されている――といえばこちら側には聞こえはいいんだけど、神祇連中からしたら『特別扱いされている』になるようだ。
実際特別扱いされている神宮や古桜、御影は、他の神祇たちに認められて『神祇三家』と呼ばれるまで上り詰めたから、最初から司のすぐ配下に置かれている俺たちはお気に召さないらしい。
司の祖は、神祇の体系を作るより先に、影小路と月御門を直属の配下に置いたと言われている。
それが現当主・司國陽。中学三年生。
國陽は、簡単に言えば始祖の生まれ変わりだ。
「黒藤さん」
思考に沈んでいた意識が呼び戻される。
顔をあげると、桃子が微笑んでいた。